こんにちは💚 介護ラボのkanaです。今日は「人間の理解」の中から『社会福祉の変遷』について5回に分けて書いていきます。今日は3回目です!
社会適応のためのパーソナリティ強化
Contents
1.戦争が社会福祉に及ぼした影響
1⃣社会適応のためのパーソナリティ強化
2⃣優勢思想の政策化
(1)らい予防法
(2)新出生前診断
1.戦争が社会福祉に及ぼした影響
1⃣社会適応のためのパーソナリティ強化
1914年、第1世界大戦が始まりました。資本主義の発展過程では、機械化で大量生産した品物を自国以外で広く売りさばくために「帝国主義」と呼ばれる新たな段階に入り、世界中に植民地獲得を目指す市場分割線が広がっていきました。
この戦争は、1918年に終戦となりますが、後半のたった2年で、現代の大量柵陸兵器の殆どが登場したといわれています。まさに兵器の産業革命といえるのかもしれません。
その結果、戦傷の恐怖が増大し、兵士に戦争神経症といわれる症状があらわれ、国に返された兵士が社会福祉援助の対象となりました。
戦争神経症は、戦争という環境が引き起こしていることは明らかです。しかし戦争中はそれを指摘することは許されません。
戦争という環境が変えられないとすれば、残された対応は、戦争という厳しい環境でもひるまず戦える強い人格づくり「社会適応のためのパーソナリティ強化」です。そのことが社会福祉援助の課題として求められました。
やっと社会の在り方に目を向け、社会改良や社会的施策、生活環境を整えるかかわりを通じて、個人の人格の発達を図る支援に取り組み始めた社会福祉は、その後の2つの世界大戦によってその視点を奪われ、再び人格への対応に引き戻されることになりました。
以前は「貧困者は惰眠(道徳的に劣った人)であり、道徳的助言が必要」でしたが、今度は「戦争神経症になる人は社会不適応者であり、パーソナリティの強化が必要」だということになりました。
そして、「パーソナリティの強化とは何か」と考えた時に、フロイト(Freud,S.)の人格論(自我という現実適応力への注目)や精神医学、精神分析学にそのよりどころを求めていくこととなりました。
他の『フロイト』記事はこちらから・・・
【受容と共感とは?】コミュニケーションの対人距離4種類 vol.94
喪失体験に結びつきやすい老年期のライフイベント【フロイトの悲嘆過程】vol.285
2⃣優勢思想の政策化
戦時下は、、戦力として期待できない病者や障害者は、悲惨な扱いを受けることとなりました。ドイツ、日本などをはじめ様々な国で優勢思想が政策に適用され強制断種が立法化されました。
(1)らい予防法
日本では1940年(昭和15年)に「国民優生法」が公布され、とくにハンセン病患者への徹底的な収容・隔離・撲滅政策が実施され、治療が可能となった戦後も、1948年(昭和23年)の「優生保護法」に引き継がれることとなりました。
その後の「全国ハンセン氏病療養所患者協議会(全患協)等による度重なる法改正運動と、WHOによる勧告で、やっと1996年(平成8年)にらい予防法が廃止され、「優生保護法」も「母体保護法」に改正され、第1条の「優生上の見地から不良な子孫の出生を予防するとともに」という条文及びそれ以降の条文から「優生」という言葉が削除されました。
- らい予防法とは?
-
ハンセン病の発生予防とともに、患者の隔離、医療、福祉を図ることによって公共の福祉の増進に資することを目的とした法律。1907年(明治40年)制定の「癩(らい)予防法」が改正され、1953年(昭和28年)に、「らい予防法」として交付された。
ただ、約50年間の療養所での強制隔離生活は、ハンセン病患者からその人生と故郷を奪いました。
法改正されたからといって、それが取り戻せるわけでもありません。
これから療養所や地域の施設・事業所で、私たちはこの人たちに出会うかもしれません。
その時に、ハンセン病の正確な理解をしていることと、その辿ってきた過酷な歴史をきちんと学んでいることが、その人と向き合い、共に歩みを進める時の基本的な条件となるはずです。
(2)新出生前診断
優勢思想の表面化・政策化は決して過去のことではなく、2013年(平成25年)4月からは「新出生前診断」が開始され、異常と確定されたケースの9割以上が中絶に至るなど、現在も続いています。
いずれにせよ、社会福祉・介護福祉の対象者には、まさにこの優生思想で淘汰の対象とされてきた人々が含まれます。
私たちはこの歴史と現実から目をそらすことなく、介護福祉士としての在り方を考え続けていかねばなりません。
⭐気になるワードがありましたら、下記の「ワード」若しくは、サイドバー(携帯スマホは最下部)に「サイト内検索」があります。良かったらキーワード検索してみて下さい(^▽^)/
ADL QOL グループホーム ケーススタディ コミュニケーション ノーマライゼーション バリアフリー ブログについて ユニバーサルデザイン 介護の法律や制度 介護サービス 介護予防 介護保険 介護福祉士 介護福祉職 他職種 住環境整備 入浴 入浴の介護 医行為 喀痰吸引 地域包括ケアシステム 多職種 尊厳 感染症 支援 施設 権利擁護 社会保障 福祉住環境 福祉住環境整備 福祉用具 経管栄養 老化 脳性麻痺 自立支援 視覚障害 認知症 誤嚥性肺炎 障害について 障害者 障害者総合支援制度 障害者総合支援法 食事 高齢者
に参加しています。よかったら応援お願いします💛
Twitterのフォローよろしくお願いします🥺