人間の理解

【①社会福祉の変遷】社会福祉の出発点・エリザベス救貧法とは? vol.635

こんにちは💛 介護ラボのkanaです。今日は「人間の理解」の中から『社会福祉の変遷』について5回に分けて書いていきます。今日は1回目です!

マルサスの人口論と慈善論

Contents

1.社会福祉領域での人権・福祉理念の変遷
 1⃣罪人として罰することから労働力としての活用へ(エリザベス救貧法)
 2⃣劣等処遇の原則と道徳的助言(新救貧法)
 (1)マルサスの人口論と慈善論
 (2)社会ダーウィニズムと優勢思想

1. 社会福祉領域での人種・福祉理念の変遷

1⃣罪人として罰することから労働力としての活用へ(エリザベス救貧法)

世界の社会政策・社会保障・社会福祉の出発点は、1601年のイギリスで制定された「エリザベス救貧法」だといわれています。

この時代、イギリス資本主義発展の原動力となった毛織物工場では、原料の羊毛を求める地主によって牧羊のための農地の囲い込みが各地で行われました。

それにより多くの農民が自らの意に反して農地を追われ、大量の浮浪貧民が生み出され大きな社会問題となりました。

このような事態に対応し「社会防衛」のため、かつ資本主義社会での労働力確保対策として生まれたのがエリザベス救貧法です。

社会防衛とは?

「社会防衛」とは?

社会を犯罪から防衛するという考え方のこと。社会防衛は、犯罪の予防、犯罪者の改善点矯正といった視点で考えられる。

それまで罪人として罰してきた浮浪貧民を、労働能力の有無によって分類し、労働能力を持つ人には就労を強制し、労働能力を持たない人は救貧院に収容し生活扶養を行い、将来の労働力である児童には徒弟奉公を義務付けました。

労働能力の有無による分類は、現在の日本の生活保護法にも引き継がれています。

エリザベス救貧法は、資本主義社会の発展に伴い発生する社会問題に対する世界初の国家的な救貧対策であり、現在の公的扶助に繋がるものでした。

しかし、社会防衛的側面が強く、また、その運営は教区(宗門の布教の便宜上または監督上設けた区域。イギリスにおいてはカトリック強化における教会行政上の基本単位であると同時に、国の最小行政単位となっている)ごとに集められる救貧税で賄われ、住民に救済を義務として強制するものでした。

2⃣劣等処遇の原則と道徳的助言(新救貧法)

その後、産業革命のもとで、新たな社会問題・生活問題への対応がさらに求められ、1834年に「新救貧法」が制定されました。

蒸気機関を使った大規模な機械工場の出現により、熟練職人層を中心に大量の失業者が生み出されるとともに、人間の労働は機械に従属するものとなり、長時間労働となりました。

機械では扱えない手作業部分は夫人や子どもが駆り出され、過酷なものとなりました。

また24時間稼働する工場のまわりにはスラムが形成され、その劣悪な環境は労働者の健康をむしばみ、労働力の確保の点でも見逃せなくなりました。

公害の発生も、この時代からだといわれています。

そして、失業者による仕事を求めるデモや、機械の打ちこわしも起こり、再び社会不安が増大し、その対応を迫られたのです。

しかし、新救貧法は、

  • 「救済の水準は実質・外見とも最下級の独立労働者の労働生活条件以下に置かねばならない」

とする、劣等処遇の原則をその基本的な考え方としていました。

教区ごとに格差のあった救済の水準が国によって低い水準で全国統一され、それまで居宅保護が認められていた労働能力のある人も全員労役場に収容され、厳しい労働が課せられました。

(1)マルサスの人口論と慈善論

新救貧法の根拠は経済学者であるマルサス(Malthus,T.R)の人口論と慈善論でした。

マルサスは、「貧困は、その時代の食糧生産高より人口が上回ることによって起こる自然現象である」と考え、「貧困者の見通しのない結婚や出産が人口増加の原因であり、この貧困者を安易に救済すれば、それは更に人口を増やすことになり、貧困はもっと大きくなる」と主張しました。

また、マルサスが考える慈善論は、「貧困者に安易に金や物を与える救済ではなく、まさにその心根をただすための道徳的な助言こそが最善の慈善である」というものでした。

貧困原因を、あくまでも貧困者個人の人格・パーソナリティの問題として捉え、救済対策に財政的負担を伴わないこの主張は、当時の自由競争時代の資本主義にとっては都合の良いものであるとともに宗教改革のもとで、勤労、節約を最上の美徳とし、失敗や貧困を罪悪もしくは不道徳なものとして軽蔑する考え方にも支持されるものでした。

宗教改革とは?

16世紀のヨーロッパで起こった、キリスト教世界における、宗教的、政治的、社会的な変革運動を指す。宗教改革を通じて、信仰主義、聖書主義をとるプロテスタンティズムが成立していった。

(2)社会ダーウィニズムと優勢思想

さらに、1859年には、自然淘汰と適者生存を進化の原動力とするダーウィンの「種の起源」が出版され、これを人間の社会に当てはめる「社会ダーウィニズム」という考え方が生まれました。

この考え方をすれば、社会の上層部で競争に打ち勝ち活躍する人が「適者」であり、障害を持って生まれたり、病弱であったり、貧困であったりする人は淘汰されるべき存在となります。

むしろ、優秀な遺伝子を残すためには人為淘汰が必要であり、救済の必要はないということになってしまいます。

その後、第1・第2次生世界大戦下でこの考え方は強化され、人的資源確保(強い兵士の確保)のため、優秀な遺伝子を残すことが重要課題となり、重度の知的障害者や精神障害者等に対する「断種法」が成立するなど、「優勢思想」や「優生学」に繋がっていくことになります。

今回はここまで。明日は1960年代以降の社会福祉の変遷をまとめていきます!!

救貧施策
社会福祉

他の『社会福祉』記事はこちらから・・・
【②社会保障の基本】内容別分類と制度別分類の違い vol.517

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kana

はじめまして(^-^)/
介護ラボのカナです。
ブロガー歴2年半(818記事執筆)
介護のあれこれを2020年6月~2022年9/8まで毎日投稿(現在リライト作業中)

社会人経験10➡介護の専門学校➡2021年3月卒業➡2021年4月~回復期のリハビリテーション病院で介護福祉士として就業中。

好きな言葉は『日日是好日』
「福祉住環境コーディネーター2級」「介護福祉士」 ◉現在福祉住環境コーディネーター1級勉強中!
介護のことを少しでも分かり易く書いていきたいと思っています。
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