人間の理解

【②社会福祉の変遷】「ケースワークの母」リッチモンドの問題定義 vol.636

2022-03-11

こんにちは💛 介護ラボのkanaです。今日は「人間の理解」の中から『社会福祉の変遷』について5回に分けて書いていきます。今日は2回目です!

ソーシャルセツルメント活動

Contents

1.貧困の社会性の認識と社会的対応の必要性(社会福祉援助の出発点)
2.「ケースワークの母」リッチモンドの問題定義(「個人」と「個人をめぐる環境」への注目)
 1⃣ソーシャルセツルメント活動

1.貧困の社会性の認識と社会的対応の必要性(社会福祉援助の出発点)

1960年代後半以降、各地には慈善組織協会(Charity Organization Society:COS)がつくられ、マルサスの主張する安易な救済を防止するために地域内の慈善団体の連絡調整と友愛訪問が開始されました。この活動が社会福祉援助の出発点だといわれています。

友愛訪問は、救済を求める貧困者の家庭訪問を行い、本当に慈善を受ける価値があるかどうかを調査し、ケース記録に残し、道徳的助言を与えることが目的でした。

しかし、この活動を通じて、社会福祉は本来の役割を自覚することになりました。

貧困者の家庭に出向いて行ったからこをみえたもの、それは失業や低賃金、過酷な労働条件下での病気や劣悪な生活環境など、個人の努力ではどうすることもできない社会的貧困の現実でした。

しかもこれらがケース記録として蓄積されていきました。

そして、この現実は、

  • 道徳的助言などでは解決できない
  • 社会福祉にはもっと社会的な生活条件整備が必要

なことを認識することになりました。

ここからが本来の社会福祉援助の始まりだといえるのかもしれません。

このことは、私たちが援助の方向に迷ったときは、常に利用者のかかえる現実に立ち戻って考えることが必要だということを教えてくれています。

介護問題も現代の産業構造の変化の中で新たな様相を見せはじめています。

私たちは人類が初めて経験する「人生80年時代」、さらに近年の日本では「人生100年時代」といわれる現代の老後問題・介護問題をもっと深く分析して、新たな課題に立ち向かっていかなければなりません。

社会福祉・介護福祉の今日的課題は、常に現場(私たちが日々向き合っている利用者の生活の中)に出てきています。

2.「ケースワークの母」リッチモンドの問題定義(「個人」と「個人をめぐる環境」への注目)

アメリカ、ボルチモアのCOSの専任職員として雇われ、友愛訪問に誰よりも熱心に取り組んだのが、「ケースワークの母」と呼ばれるリッチモンド(Richmond,M.E.)でした。

1899年にまとめた『貧しい人々への友愛訪問』では、

  • 「友愛訪問とは、貧しい家庭の喜びと悲しみ、考え方、感じ方、そして生活に対する全体的な見通しについての身近で継続的な知識と共感を意味する」

と定義しています。

この考え方は、現代でも通用する、人間の尊厳をベースにした問題提起であり、ケース(ケア)マネジメントや介護過程の展開を行う時の基本姿勢だといえます。

リッチモンドは、それまで、ともすれば個人の人格の問題にされがちだった貧困への対応について、

  • 「個人」と
  • 「個人をめぐる環境」

の両方に注目し、救済計画立案のための徹底した調査・分析・診断の必要を主張し、その方法を1917年に『社会診断』としてまとめています。

利用者の生活の全体像と抱える課題を幅広くとらえ診断するという点では、これもまた現在のケース(ケア)マネジメントや介護過程の展開場面のアセスメントに繋がるものだといえます。

また、常にその人の日常的な関係性にも目を向け、その関係の修復や新たな関係を広げることも視野に入れて援助すべきだとする「拡大する自己」(自分だけではなく新たな環境をつくる)という考え方も、今に繋がる問題提起です。

1⃣ソーシャルセツルメント活動

リッチモンドは、貧困調査や貧困地域での教育活動を通じて、貧困原因の社会性とその社会的解決を主張する「ソーシャルセツルメント活動」の影響も受けながら、社会福祉援助には個別の処遇と社会的施策(制度)の両方が必要で、それが相互に補完し合うことや、社会改良という視点が重要であることも指摘しています。

ソーシャルセツルメント活動とは?

スラム街、工場街などの、失業・疾病・犯罪などと関連の深い貧困問題が集約された地域に住み込み、住民の生活を援助する活動をいう。セツルメント運動ともいう。

社会福祉は貧困者の暮らしの現実に目を向けることによって、惰眠論(貧困の原因がその者自身の怠惰なこころにあるとした貧困者を指す語)を乗り越え、貧困原因の社会性に気づき、その社会的解決のための生活条件整備の必要を自覚することになりました。

さらにリッチモンドは、この生活環境を整えるかかわりを通じて人格の発達を図る方法を、「奇跡の人」といわれるヘレンケラー(Keller,H.)への家庭教師サリヴァンの教育実践にも触発されながら模索し、1922年には『ソーシャルケースワークとは何か』をまとめています。

これもまた、現在の社会福祉・介護福祉分野での支援の在り方に大きな示唆を与えています。

今回はここまで。明日は「戦争が社会福祉に及ぼした影響」をまとめていきます!!

救貧施策
社会福祉

他の『社会福祉』記事はこちらから・・・
【②社会保障の基本】内容別分類と制度別分類の違い vol.517

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kana

はじめまして(^-^)/
介護ラボのカナです。
ブロガー歴2年半(818記事執筆)
介護のあれこれを2020年6月~2022年9/8まで毎日投稿(現在リライト作業中)

社会人経験10➡介護の専門学校➡2021年3月卒業➡2021年4月~回復期のリハビリテーション病院で介護福祉士として就業中。

好きな言葉は『日日是好日』
「福祉住環境コーディネーター2級」「介護福祉士」 ◉現在福祉住環境コーディネーター1級勉強中!
介護のことを少しでも分かり易く書いていきたいと思っています。
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