社会の理解

【❺高齢者保健福祉】介護離職問題の解決に向けて考える vol.603

2022-02-06

こんにちは 介護ラボのkanaです。今日は「社会の理解」の中から『高齢者保健福祉』について5回に分けて書いていきます。今日は最終の5回目です!

介護休業・介護休暇とは?

Contents

1.高齢者保健福祉における課題と展望
 1⃣介護離職
 2⃣介護離職問題の解決に向けて
 ◉介護休業・介護休暇
2.まとめ

1.高齢者保健福祉における課題と展望

1⃣介護離職

総務省が行った「平成24年就業構造基本調査」によると、働きながら介護をしている雇用者は、約239万9000人となっています。また、2007年(平成19年)10月から2012年(平成24年)9月までの5年間で介護・看護のため前職を離職した者は約48万7000人であり、概ね年間10万人の離職者を出していることが報告されています。

そして、このような家族の介護若しくは看護を理由に仕事を辞めてしまう状況は「介護離職」と呼ばれ、近年日本において大きな課題となっています。

上項の、働きながら介護をしている雇用者の年齢構成をみると、40~59歳の割合が6割を占めています。

このことから、親の介護に直面することの多い年代である40歳~59歳が相対的に介護離職に陥りやすいリスクが高いことがうかがえます。

また、2012年度(平成24年)に、介護を理由に正社員の仕事を辞めた40歳代から50歳代を対象に行われた「仕事と介護の両立に関する労働者アンケート調査」では、介護を理由として離職した後の変化として、

  • 肉体面の負担
  • 精神面の負担
  • 経済面の負担

3つを取り上げ、それぞれの負担の変化を見ています。

その結果、肉体面の負担については56.6%、精神面の負担は64.9%、経済面の負担は74.9%の者が負担が増えたと回答していることが報告されています。

このように、介護離職の問題は、介護に対する身体面の負担や精神面の負担の問題だけでなく、その影響は経済面にまで派生し、介護が長引くことで貧困状態に陥ってしまう事が心配されます。

さらに、中高年が多いことから、介護が一段落した後も年齢の問題により再就職が難しくなる点や、社会全体からみて労働力の減少に繋がる点などが課題とされています。

2⃣介護離職問題の解決に向けて

介護離職問題に対する対応策として、介護休業・介護休暇を取得しやすくすることや、長時間労働を是正することなど、働きやすい職場環境の整備があげられます。

介護と仕事を両立させるための取り組みとしては、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(育児・介護休業法)が設けられています。

◉介護休業・介護休暇
【介護休業】
労働者が、要介護状態(負傷、疾病あた歯身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上に渡り常時介護を必要とする状態)にある対象家族を介護するための休業をいう。

【介護休暇】
労働者が、要介護状態にある対象家族の介護その他の世話を行うための休暇をいう。ここでいる「その他の世話」とは、対象家族の通院等の付き添い、対象家族が介護サービス提供を受けるために必要な手続きの代行、その他の対象家族にとって必要な世話をいう。

上記の制度により、介護のためにまとまった休みを取ることができ、上限は93日になります。介護休業や、長期間休むのではなく、1日単位若しくは半日単位で休暇の取得ができる介護休暇といった仕組みが定められています。

また、所定外労働の免除制度も設けられており、労働者が勤務先に残業の免除を求めることができる権利なども定められています。

さらに介護離職の問題を解消するためには、働きやすい職場環境を整えるだけでなく、介護サービスを必要な時に受け取ることのできる環境を整備することも必要です。

しかし、介護サービスの量を確保するためには、同時に介護の担い手である人材の確保も重要な問題となってきます。

介護の人材については、厚生労働省は2025年に253万人が必要であるとしていますが、現状のままであれば37.7万人が不足すると予測しています。

介護人材を確保するための方策としては、新たな人材を介護の現場に呼び込むことも重要ですが、介護の現場での定着率を高め離職率を下げていくことが必要です。

そのために処遇改善として介護福祉職の賃金アップを図る取り組みや、将来展望をもって働き続けることができるようにするためにキャリアパスを構築・普及させる取り組みが進められています。

また、介護の負担を減らし効率性を高めるために介護ロボットであるICT(情報通信技術)を活用する取り組みも進められています。

質の高い介護人材を育てつつ、誰もが働きやすい職場環境を整備していく為に、こうした取り組みをより一層推進していくことが今後も求められます。

育児・介護休業法

他の『育児・介護休業法』記事はこちらから・・・
【❶介護福祉職の健康管理】労働基準法の36協定とは?? vol.334

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kana

はじめまして(^-^)/ 介護ラボのカナです。
ブロガー歴3年超(818記事執筆)
介護のあれこれを2020年6月~2022年9/8まで毎日投稿(現在リライト作業中)

社会人経験10➡介護の専門学校➡2021年3月卒業➡2021年4月~回復期のリハビリテーション病院で介護福祉士➡2023年1月~リモートワークに。

好きな言葉は『日日是好日』
「福祉住環境コーディネーター2級」・「介護福祉士」取得
◉福祉住環境コーディネーター1級勉強中!
介護のことを少しでも分かり易く書いていきたいと思っています。
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