こんにちは(^▽^)/ 介護ラボのカナです。今回は・・・
自立の在り方、4つの自立の違い
✅介護ラボのトップページ(介護について色々なカテゴリーをまとめています)🌟
✅介護ラボ・辞書のトップページ
自立とは?
「自立」と聞いて、皆さんはどのようなイメージを持つでしょうか。
- 誰の助けもなく自分だけで生活する事でしょうか
- 親元から離れて一人暮らしをする事でしょうか
- それとも文字通り自分で立って歩くことでしょうか
多くの人は「自立」とは、他人の力を借りず自分の力だけで物事を行うことだと考えているかもしれません。これから自立とはどのような状態を指すのか考えてみます。
自立には、
1⃣経済的自立
2⃣精神的自立
3⃣身体的自立
4⃣社会的自立
の4種類があります。次項から詳しくまとめていきます。
1⃣経済的自立
今まで、長い間にわたって、働くことにより自分で収入を得て、誰からも金銭的な援助を受けることなく生活を営むことが経済的自立だとされてきました。
そのため、それがたとえ親からであっても、金銭的援助によって生活をしていれば「親のスネをかじっている」と言われ、経済的に自立していない人とされていました。
「親のスネをかじる」という言葉は、本来は働く意志があれば働くにもかかわらず親に頼った生活をしている状態を指す言葉ですが、特に高度成長期のいわゆる重厚長大型産業が経済の中心だった時代には、働く意志があるにもかかわらず働く機会や環境が得られずに働くことが叶わなかった障害者までもが「親のスネをかじっている」「経済的に自立していない」とされ、社会の中で低く評価されてきました。
🔹重厚長大型産業とは?
鉄鋼業・セメント・非鉄金属・造船・化学工業が産業の中核を占める産業で、「重い・熱い・長い・大きい」ものを扱うことが多いことからこう呼ばれました。
しかし最近ではITの進歩や在宅ワークの広がりなど、働き方の多様化がみられ、障害者の働く機会も増えるともに、障害者の就労を支援する福祉サービスなども整備され、障害者の経済的自立の考え方も変化してきたといえます。
その一方で、働いてもその収入だけでは生活が困難な人もおり、中でもワーキングプアは大きな社会課題になっています。
働いても生活を維持することが困難な収入しか得られない人と、働くことができるにもかかわらず働いていない人を、「経済的自立ができていない人」と同義にくくるのは適切ではなく、収入の多い・少ないにかかわらず、「働くことができているかどうか」を基準とした経済的自立の考え方が必要と思われます。
●ワーキングプアとは?
職につき働いても生活を維持するだけの収入が得られない人々のこと。「働く貧困層」ともいわれています。
また収入を得ることだけでなく、その金銭をどのように使うかを決め、計画的に消費をコントロールすることも経済的に自立しているかを図る1つの要素といえます。
2⃣精神的自立
人が生きていくには、様々な出来事があり、悩みや生活課題にぶつかることが多くあります。また人は、実に多くの場面で大きな選択と小さな選択を繰り返しながら自分の生活を営んでいます。
「精神的自立」とは、自分の生活や人生をどう生きるかの目標を持ち、自らが主体となってその目標のためにどのように行動するか、あるいは行動しないかを選択し、起こる課題に対応をしながら物事を進めていくことです。
たとえ自分が決めた方針に沿って行動した結果が期待通りでなかったときでも、その結果を受け止めながら次の課題に自分で取り組めることが、精神的に自立している状態だと言えます。
しかし、精神的な負担を1人で抱え込むことは決して良いこととはいえません。
何もかも人に頼らず自分だけで頑張ろうとすると、強いストレスの蓄積によってこころの病を引き起こすことにもなりかねません。弱音も吐かず、精神的に自立しているように見える人が、ある日突然、想像もつ出来ないような問題を引き起こすこともあります。
必要な時には周りの人に相談したり、アドバイスを求めたりしながら、自分の精神をコントロール出来るということも精神的自立の要素だととらえることが必要です。
3⃣身体的自立
「身体的自立」とは、生活を維持、継続していくために必要となる身体的動作を自分で行うこができる状態のことをいいます。
障害者や介護を必要とする高齢者が、食事、排泄、入浴、就寝、起床、着替えなど基本的な生活に欠かせない動作(ADL)がどの程度できるかを評価する時も、動作ごとに、
- 「介助の必要がなく1人でできる」
- 「時間をかければ1人でできる」
- 「一部介助があればできる」
- 「全面的に介助が必要」
などの基準に沿って点数をつけ、その点数の合計によって自立度(自立の度合い)を評価します。
動作を1人でできるほど点数が高く、「自立度が高い」「自立している」と評価されます。
このように、身体的自立の評価は、自力で動作ができるどうかが主な基準になります。ただし、注意しなければならないのは、この自立度が必ずしも自力で生活できるかどうかに直結する評価ではないということです。生活場面では、今何が必要で、何をしなければならないかという認識と判断が伴います。
身体的自立の評価が高いことと、自力での生活ができるということは同じではないということを理解しておく必要があります。
「介護ラボ」の人気の記事
介護に困ったときに知っておきたいこと(相談窓口・手続き)
介護保険で利用できる『7つの介護予防プログラム』を使って自立した生活を継続しよう!
【ピアジェ、エリクソン、ハヴィガースト】発達段階と発達課題 vol.77
【比較】エンパワメントとストレングスとは?介護福祉職による支援方法 vol.45
【老年期】ハヴィガースト、エリクソン、ペック、レヴィンソン、バルテスの発達理論 vol.283
【介護福祉の基本理念・ポイント3つ】最も大切な理念とは? vol.8
【障害受容の5つの段階】障害者を取り巻く4つの障壁(バリア)vol.49
【発達理論】ピアジェ、エリクソン、バルテスの発達論を理解する vol.76
【アセスメントの3つの視点】情報の解釈、関連付け、統合化とは? vol.195
4⃣社会的自立
社会のなかで守るべき法令やルールなどに従い、周りの人達と良好な関係を保ちながら経済活動、社会活動などに参加し、社会の構成員としてその役割を担うこと、つまり社会参加している状態を社会的に自立しているといいます。
社会とは、複数の人によって構成される1つの共同体といえます。そして社会参加とは、社会を構成している複数の人との人間関係の参加と言い換えることができます。
多くの人が集まれば、それぞれが持つ価値観や考え方に違いがみられ、意見が合わなくなることも当然あります。その時、自分の意見を押し通すのではなく、他の人の意見を聞き入れながら、社会の構成員である自分の役割も果たして社会とかかわっていることが、社会的自立だといえます。
また、一言で「社会」といっても、その規模や構成、内容も様々です。まず、最小の社会であり、人が生まれて最初にかかわりをもつ社会が「家庭」です。家庭の中で自分の役割を果たし、家族との良好な関係を保って家庭を築くことが社会的自立の第一歩となります。
家庭の次に身近な社会としては、「近隣」の存在があります。日本には、特にかかわりの深い身近な社会を意味する「向こう3軒両隣り」という言葉がありますが、最近は核家族化が進み、お隣さんの顔も分からないという人が多くなって、一番身近であるはずの近隣社会との関係が持ちづらくなってきています。
場合によっては、家庭の中で孤立している現代において、社会的自立をどのようにとらえて支援していくのかが課題の1
つでもあります。
まとめ
今日は4つの自立について考えてみました。
この他にも、「生活的自立」や「心理的自立」などの言葉が使われることもあり、自立は様々な視点から見ることができます。
時代の変化や、「生活」に主眼を置いた考え方の浸透により、他の助力に頼らず自力で行うだけでなく、何らかの支援や協力が必要な時にはそれを自らが求め主体的に生活することも自立ととらえるなど、「自立」の定義も変わりつつあります。
他の『自立とは』記事はこちらから・・・
【リハビリテーションの目標】4つの分野に分類される vol.44
【介護保険制度の目的】被保険者の対象年齢と加入条件とは? vol.86
に参加しています。よかったら応援お願いします💛
良かったらTwitterのフォローお願いします🥺