発達と老化の理解

【老化に伴う知的機能の変化】結晶性知能と流動性知能について vol.353

2021-06-01

こんにちは。介護ラボのkanaです。今日は「発達と老化の理解」の中から『老化に伴う知的機能の変化』についてまとめていきます。

コーホート効果と系列法とは?

Contents

1.知的機能の変化と心理的影響
 1⃣古典的研究
 2⃣結晶性知能と流動性知能
 3⃣系列法を用いた研究成果
 4⃣コホート効果と系列法

1.知的機能の変化と心理的影響

様々な認知機能が集まり、人間の知的活動を支えています。知的機能のいわばパーツである認知機能については、老化によって低下が大きいもの、それほど低下しないものがあることが分りました。次項でその総合的な機能である知的機能についてまとめていきます。

1⃣古典的研究

1960年代ごろまでは、老化による知的機能の低下は著しいものと考えられていました。

知能を図る道具である「知能検査」を実際に使用し、多くの多世代の人の知能検査の得点を世代別に平均を求めた研究結果では、知的機能は20歳代ごろに最も高くなり、以降は低下していく事が示されていました。

特に高齢期には大きく低下し、70歳代の人の平均は、20歳代の人の平均と比べると著しく低くなるという研究結果が示されていました。

2⃣結晶性知能と流動性知能

結晶性知能と流動性知能

一方で、ホーン(Horn,J.L.)とキャッテル(Cattell,R.B)は、知能検査の様々な尺度について検討を行い、計算や知識等の経験や教育に基づくものを「決勝咳知能」、空間認識や後の流暢性(言葉を早く話したり書いたりすること)等の感覚や運動に基づくものを「流動性知能」といして分類することを提唱しました。

  • 結晶性知能:過去に経験で得た知識を活用して問題解決する能力
  • 流動性知能:その場で新しい問題を解決する能力

ホーンとキャッテルは14歳~61歳の参加者の年齢別の結晶性知能と流動性知能の比較を行いました。その結果、成人以降でも「結晶性知能」は加齢に伴い上昇し、逆に「流動性知能」は加齢に伴い低下を示しますが、合計すると加齢による変化は少ないということを示しました。

3⃣系列法を用いた研究成果

シャイエ(Schaie,K.W.)の研究

シャイエ(Schaie,K.W.)は、従来の知能検査を用いた研究の問題点を明らかにし、系列法(後述)という手法を用いた研究を行いました。その結果、結晶性知能は60歳代まで上昇し、老年期の前期での低下は緩やかであること、流動性知能は40~50歳代まで上昇し、老年期の低下が大きいことを明らかにしました。

その結果では、老年期の知能検査の得点の低下は従来の研究よりもずっと小さく、低下が生じる時期はずっと遅いことが明らかになりました。

結晶性知能と流動性知能の加齢による変化の違いについては、「流動性知能」は神経系の働きに依存している部分が大きいため、加齢の影響を受けると考えられています。

一方で「結晶性知能」は、ちっしきや文化の影響を受けながら経験・学習によって形成されることによって、老年期に差し掛かるまで上昇していき、老年期においてもその能力を活用できることで、加齢による流動性知能の低下を補っていると考えられます。

4⃣コホート効果と系列法

なぜ、かつては老年期の知能の低下は過剰に見積もられていたのでしょうか??

その大きな理由として、年代によって平均的な教育歴や多くの人が従事する職業歴等が異なるという世代の違いによる文化差があることが挙げられています。

多くの人の教育歴や職業歴は知能検査の平均得点に影響があることが分っています。

コホート効果とは?

同時代の20代と50代と70歳の知能検査の得点を比較しても、加齢による知能の変化だけではなく、各世代が生きてきた社会環境や文化の違いによる得点の違いが混合されてしまっているのです。このように集団の特性によって生じる影響を「コホート効果」と言います。

それを改善するためには、同じ対象者集団を追跡し続ける「縦断法」という方法があります。

しかし、例えば20~80歳の知能に対する加齢の影響を検討するために60年間の期間が掛かってしまいます。シャイエは、比較的短期間の縦断研究(開始時点ー7年後ー14年後の3回)をいくつかの年齢の集団(開始時点で25、32、39、46、53、60、67の7歳ごとの7つの年齢の集団に実施し、それぞれの集団間のコホート効果による差を調整する「系列法」を用いることによって、前述のような研究成果を得ました。

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kana

はじめまして(^-^)/ 介護ラボのカナです。
ブロガー歴3年超(818記事執筆)
介護のあれこれを2020年6月~2022年9/8まで毎日投稿(現在リライト作業中)

社会人経験10➡介護の専門学校➡2021年3月卒業➡2021年4月~回復期のリハビリテーション病院で介護福祉士➡2023年1月~リモートワークに。

好きな言葉は『日日是好日』
「福祉住環境コーディネーター2級」・「介護福祉士」取得
◉福祉住環境コーディネーター1級勉強中!
介護のことを少しでも分かり易く書いていきたいと思っています。
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