DCM(認知症ケア・マッピング)
読み方:でぃーしーえむ
認知症ケア・マッピングは(Dementia Care Mapping:DCM)、1980年代後半、イギリスのブラッドフォード大学教授・キッドウッド氏(Kitwood,T.)が、イギリス政府より開発依頼された、認知症デイサービス等のサービス評価ツールのこと。
DCM:認知症ケア・マッピングは、主に高齢者に介護福祉サービスを提供する入所施設や通所施設のフロアや廊下等の公のスペースにサービス利用者がいる時に観察を行います。
- 居室内
- トイレ
- 風呂場
など、プライバシーが侵害される可能性が高い場所での観察は行わないこととされています。
観察は、連続6時間以上に渡り実施され、信頼性と妥当性の確保という観点から、基本は2名の観察者で記録することとされています。
この2名の観察者のデータが80%以上の確率で一致することを確認し、その観察内容の信頼性と妥当性を担保するのです。6時間という連続した時間にわたり観察することで、認知症ケア・マッピングは、限定的ではありますが、生活を連続した総体として捉えることを志向した「観察式評価法」であるといえます。
DCM:認知症ケア・マッピングの観察を行う前に、観察を行う通所施設や入所施設の介護福祉職等にパーソンセンタードケアの考え方や、その考え方に基づき認知症の人にどのような介護が提供されているのかを測定する認知症ケア・マッピングについて説明を行います。この事前説明を『ブリーフィング』といいます。
このブリーフィングで、どのような介護が好ましいのか、あるいは逆にどのような介護は効果的ではないのかも説明していきます。
またDCM:認知症ケア・マッピングでは、具体的にどのようなことを観察していくのかも説明します。認知症ケア・マッピングは、単純に介護を、
- 「良い」
- 「悪い」
と評価するために行うものではなく、実際にどのように関わればよいのかが分からず、対応に苦慮している認知症の人への対応法を介護福祉職と一緒に探していく為に行うものであることも説明していきます。
このブリーフィングにより、認知症ケア・マッピングの観察者と介護福祉職の共通認識が形成されたときに、実際に認知症ケアの質の改善は実現されやすくなります。