発達と老化の理解

【老化に伴う心理的な変化】知覚・聴覚・注意機能の変化とは? vol.351

2021-05-30

こんにちは。介護ラボのkanaです。今日は「発達と老化の理解」の中から『老化に伴う心理的な変化と生活への影響』についてまとめていきます。

ストループ課題・効果とは?

Contents

1.認知・知覚機能の変化と心理的影響
 1⃣視覚機能の変化
 2⃣聴覚機能の変化
 3⃣注意機能の変化
 (1)情報量が多いことによる影響
 (2)複数のことを同時に行うことによる影響
 (3)環境による影響(ストループ課題・効果)

1.認知・知覚機能の変化と心理的影響

1⃣視覚機能の変化

外界の「見えやすさ」は視力だけで決まるのではありません。

  • 視覚情報を処理する速さ
  • 明るさに対する感度(暗い場面での視覚)
  • 動体視力(動くものを見ること)
  • 近視力(距離が近いものを見ること:老眼)
  • 視覚探索(目標物を他の情報の中から探す事)

などの低下を高齢者自身が感じているという研究結果が示されています。

視覚機能の低下

全般的な視覚機能の低下は、見間違いが増えることに繋がります。特に老眼が進行することで近い距離への焦点が合いにくくなり近視力が低下し、手元で細かいものを見ることが難しくなるので細かい作業が若いころに比べて早く出来なくなったり、難しくなったりする場面もあります。

また、本や新聞が読みにくくなることで、「読む」という知的な生活習慣が変化する場合があります。出来ていた日常生活の作業や知的な生活習慣を諦めてしまうことは、知的好奇心や社会的関心が低下することに繋がりやすくなります。

知的とは?

視覚では光、聴覚では音を感覚として得ているが、実際に私たちの主観的体験では、視覚では形や文字等が、聴覚では音声や音楽等が、意味がある情報として理解出来ることが多い。このように意味があることが了解出来るという意味で心理学的には「知覚」という用語が用いられる。

暗順応の低下

暗い所での見えにくさや暗順応の低下は、家の中から外に出る時など急に暗い場所に移動したときも、その後に暗い中を歩く時にも見えにくさを経験しているということです。見えにくさは夕方ごろから生じており、段差でのつまづき、障害物や自動車への接触などに十分に注意を払う必要があります。

その他には、駅の掲示物から目的の情報を探すような視覚探索が難しくなるなど、高齢者は通常の視力ではとらえられない「見えにくさ」を経験しており、そのことが行動の自由度を制限していることを知っておく必要があります。

視覚は環境からの情報獲得に大きな役割を果たしているため、視覚機能の低下は生活に大きく影響を与えます。高齢社会においては、

  • 見えにくいものは文字を拡大して見やすくする
  • 細かい作業を必要とする器具を改良し使いやすくする
  • 転倒を防ぐために気付きにくい段差をなくす
  • 薄暗い中でも見えやすい色や形などを自転車や自動車に用いる

など、環境を調整することも考えていく必要があります。

一方で、出来なくなったことばかりに注目することは、様々な行動への意欲低下を引き起こす可能性があります。周囲の人は、間違いや出来ない事ばかりを指摘したり、動作を急がせたり、若い人と比べたりすること等によって、出来ないことを強調しすぎないことが大切です。

視覚・聴覚

2⃣聴覚機能の変化

高齢者の聴力低下

高齢者の聴覚機能の低下は、単に音への感度が低下する(小さな音が聞こえにくくなる)だけではないことを理解する必要があります。高齢者の聴力低下は「感音性」であることが多いのが特徴です。

感音性の聴力低下の特徴は、音を大きくすれば健聴者と同じように聞こえるのではなく、聴覚の質的な変化が生じることです。音を大きくし過ぎるとかえって聞き取りにくいという補充現象が生じる場合もあります。

会話が聞き取りにくくなることが特徴であり、語音明瞭性の低下、雑音が多い場面では尚更聞き取りにくくなります。このような会話の聞き取りにくさは、コミュニケーション上の困難に繋がり、話しかけた方は相手が理解していると思っていても、実際聞いている高齢者側は聞き取れていなかったり、誤解していたりする場合があります。

語音明瞭性とは?

人間の発生する言語は物理的には単なる空気の振動であるが、そこに含まれる非常に多くの情報を内耳から神経系において取り出すことで、言語として認識可能である。

うなずきなどで了解を示している場合であっても、後でコミュニケーションの不整合が判明することもあります。このような聴覚機能の低下によるコミュニケーション不全の状態は、社会的交流を避けるような行動に繋がる可能性があります。

高齢者に対するコミュニケーション

高齢者に対するコミュニケーション法として、耳元で大きな声で話をするという対応がよく見られますが、感音性の聴力低下がある高齢者に対しては必ずしも有効なコミュニケーション法とは言えません。

大きすぎる声で話されるとかえって聞こえにくいことも多く、周囲に全てが聞こえてしまうような話し方をされることで自尊心が損なわれることもあります。

声の大きさよりも「ゆっくり」「はっきり」話すことが有効です。

また補聴器を使用することによって聴力が改善される場合もあるため、本人の意向を踏まえた上での使用の検討が欠かせません。一方で補聴器を使っても健聴者と同じように聞こえるわけでないこともコミュニケーション上の留意点として知っておく必要があります。

音は、見えない周囲からの自動車や人の接近を感知し、危険回避のためにも重要な情報といえます。聴覚機能の低下はこうした危険回避力の低下にも繋がりやすいことにも注意が必要です。

3⃣注意機能の変化

注意とは?

「注意」とは、様々な活動をする際に必要な情報だけに着目し、不必要な情報は無視する情報選択の機能です。何かに集中して見る時のように1つの対象に対して注意を向ける場合の「選択的注意」、運転の時のように複数の対象に注意を分散させなければならない場合の「分散的注意」など、多様な働きが含まれています

また、視覚や聴覚的な情報だけでなく、思考や動作も影響があり、考え事をしていると情報の見落としをする現象も注意機能に関係しています。老化によって、

  • 複数のことを同時に遂行することが難しい、
  • 気が散りやすくて集中しにくい
  • 集中が続きにくい
  • いったん集中すると他のことに気が回らない

など、注意機能を必要とする日常生活上の行動に難しさが生じやすくなっていきます。注意機能を評価するための様々な課題においても、老化によって注意機能が低下しがちであることが示されています。

(1)情報量が多いことによる影響
視覚的探索

鉄道の路線図から目的地の駅を見つける時のように、多くの情報がある中から必要な情報を見つけ出す場合に、他の情報に邪魔されてしまうことで必要な情報を見つけにくくなります(視覚的探索)。

視覚的探索について評価は、例えば多くの文字がランダムに散りばめられている画面から、標的となる文字を探索する課題等が用いられています。

高齢者グループは、背景に散りばめられた文字数が多くなるほど若年者グループよりも探索時間が遅くなり、複雑な視覚的探索が難しくなるという結果が示されています。

但し、探索の標的となる文字が、背景の不必要な文字と比べて特徴が明確に異なる、色が違う場合などにおいては、高齢者グループと若年者グループとの探索速度の差は小さくなることから、探索する情報を背景から見つけやすくすることが視覚的探索を容易にするために有効といえます。

(2)複数のことを同時に行うことによる影響
複数のことを同時に行うこと

複数のことを同時に行うことによって、片方あるいは両方の作業が上手くいかなくなってしまうことも注意機能の低下と関係があります。

例えば、見ることや聞くことなどの課題を歩行をしながら行うと、高齢者グループでは若年者グループよりも、歩行することによって課題の成績が低下する傾向があります。

また、課題に注意を集中すると歩行に影響が生じてしまいます。

情報の取得や作業を同時に行わないように配慮することが必要であり、特に未知の課題を同時進行しない事などに配慮することが有効だといえます。

(3)環境による影響(ストループ課題・効果)
環境による影響

物が散らかっていたり、音がうるさい場面では気が散ってしまい、作業がはかどらないといったことが起きやすくなります。これは不必要な情報を注意の対象から抑制することが難しくなることによるものと考えられています。

不要な情報を抑制する課題としてよく用いられているのは、着色した色名の漢字、例えば「青」という文字を青色や赤色に着色し視覚的に提示して、着色された色名を素早く言う「ストループ課題」です。

この課題では、文字が表す色と着色された色名が異なると、同じ場合に比べて着色された色名を言うまでの時間が掛かるストループ効果が起きます。

ストループ課題とは?

実際に課題を行う際には、1文字を提示してその色名を発声するまでの時間を測る方法もあるが、その時間は非常に短いため、多くの文字を用いて全ての文字の色名を発声し終わるまでの合計時間を測定する方法も用いられている。

ストループ効果は、高齢者グループの方が若年者グループよりも大きくなることが報告されています。高齢者は自動的に取り込まれる不必要な情報を抑制して注意を向けないことが難しくなることで、情報を収集したり、作業を行ったりすることに対する妨害が生じやすくなるといえます。

読み物や作業等をする時には、静かな環境や不要なものを片付けるなど環境を整え、不要な情報がない状態で行った方が影響が少なくなるといえます。

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kana

はじめまして(^-^)/
介護ラボのカナです。
ブロガー歴2年半(818記事執筆)
介護のあれこれを2020年6月~2022年9/8まで毎日投稿(現在リライト作業中)

社会人経験10➡介護の専門学校➡2021年3月卒業➡2021年4月~回復期のリハビリテーション病院で介護福祉士として就業中。

好きな言葉は『日日是好日』
「福祉住環境コーディネーター2級」「介護福祉士」 ◉現在福祉住環境コーディネーター1級勉強中!
介護のことを少しでも分かり易く書いていきたいと思っています。
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