意味性認知症
読み方:いみせいにんちしょう
左側頭葉萎縮が強い前頭側頭型認知症認知症のことを意味性認知症といいます。稀なタイプで、初期症状は言語機能が低下していきます。物の名前が出にくくなる語義失語になり、一部の例外を除くと、言語機能は重度になるまではほぼ保たれます。
側頭葉萎縮が中心の意味性認知症は、言葉の意味が分からない語義失語が中心の症状です。
例えば、「バック」という言葉の意味が分からないので、「バッグとって」といわれたときに「バックって何?」と返答し、バックを取ることができません。
意味記憶は左側頭葉を中心に保存されています。そして、ここが委縮すると、言葉の意味が理解できなくなり、さらにバックが分からないので、バックを見せながら、「これは何ですか?バから始まります」とか「バッ」とヒントを与えても、「これはバッですか」などと言い、「バックという言葉が出てこない」という特徴があります。
そして、「土産(みやげ)」を「ドサン」、「八百屋(八百屋)を「ハッピャクヤ」などと読んだりします。言葉の障害だけでなく、顔を見てもだれか分からない症状(相貌失認)や、時刻表的生活などの常同行動、脱抑制など前頭葉症状も伴います。
社会のルールを無視する行動や、言葉の理解の障害などから発症し、アルツハイマー型認知症とは明らかに異なる経過を示すので、見分けることが大切です。
その理由は、前頭側頭型認知症は、特に行動障害型前頭側頭型認知症にドネペジルなどのアルツハイマー型認知症薬が投与されると、過活動がさらに過激になり、介護が困難になるからです。
初期には過活動が目立ちますが、進行するとアパシーが目立つようになり、終末期には、他の認知症疾患と同様で、動けなくなり、両便失禁、誤嚥で死に至ります。