認知症の人へのケアの原則
読み方:にんちしょうのひとへのけあのげんそく
下記の20か条は、認知症のケアについて、その定義や理念を日本で初めて明確に提唱した室伏君士博士が1984年に「痴呆老人の理解とケア」(今剛出版)の著書の中で『老年痴呆者のケアの原則(20か条)』を提唱したものです。
1.その人が生きてゆけるように不安を解消すること
①急激な変化を避けること
②その人にとって頼りの人になること
③その人によって安心の場(状況)を与えること
④なじみの人間関係(仲間)をつくること
⑤その人を孤独にし続けないこと
2.その人の言動や心理をよく把握し対処すること
⑥その人を尊重すること
⑦その人を理解すること
⑧その人と生きている時代を同じにすること
⑨理屈による説得よりも共感的な納得を図ること
⑩その人の反応様式や行動パターンをよく把握し対処すること
3.その人を温かくもてなすこと
⑪その人の良い点を見いだし、良い点で付き合うこと
⑫その人を生活的・情況的に扱うこと
⑬その人を蔑視・排除・拒否しないこと
⑭その人を窮地に追い込まないこと(叱責・矯正し続けない)
⑮その人に対して感情的にならないこと
4.その人に自分というものを得させるようにすること
⑯その人のペースに合わせること
⑰その人と行動を共にすること
⑱簡単にパターン化して繰り返し教えること
⑲その人を安易に寝たきりにしないこと
⑳適切な刺激を少しずつでも絶えず与えること
この20か条を見ると、その人を取り巻く物理的な環境が非常に重要であることに気が付きます。
見方を変えれば、どれほど介護を充実させても、その物理的な環境が整っていなければ十分な対応が出来ないということを意味しています。
- 「急激な変化を避ける」
- 「安心の場(状況)を与える」
- 「生活的に扱う」
- 「適切な刺激を少しずつでも絶えず与える」
などは、物理的な環境の側からも積極的にアプローチ出来る内容です。
「理屈による説得よりも共感的な納得を図る」も物理的な環境作りを考える上でのヒントを与えています。