帰宅願望
読み方:きたくがんぼう
帰宅願望とは、認知症の心理的症状・行動症状のひとつです。具体的には「帰りたい」と頻回に訴えたり、実際に家や施設を出て行こうとすることを指します。この帰りたいという気持ちは、自宅だけではなく、生まれ育った故郷や親しい家族や兄弟姉妹、親戚の家を指していることもあります。
「私の家ではない」「自分の家に帰りたい」と発する人は少なくありません。その場から「自分の家」ではない、ということを感じ取っているのです。
それは、そこにいる人、そこに流れる時間、そこにある空気や雰囲気がそのように感じさせるのだと思いますが、当然そこにある空間である環境もその一因になっている可能性があります。
「ここが今日から〇さんのお家ですよ」と理屈で説得しても、その人が感覚的に「家」だと思えるような環境や状況、安心して居ることが出来る雰囲気が無ければ「家」になりえません。
認知症ケアの中での物理的な側面からの環境作りは、身体的介護と同様に大切なケアの一要素であるという意識を持ち、適切な環境作りに努めなければなりません。