認知症の人の価値を高める行為
読み方:にんちしょうのひとのかちをたかめるこうい
パーソンセンタードケアと提唱したキッドウッド氏は、「認知症と共に生きる人々の心理的ニーズ」を下記の5枚の花弁で価値を高める行為についてあらわしました。
パーソンセンタードケアとは、年齢や健康状態にかかわらず、すべての人々に価値があることを認め尊重し、1人ひとりの個性に応じた取り組みを行い、認知症の人の人間関係の重要性を重視したケアのことです。
- くつろぎ(Comfort)
- 思いやり(やさしさ・温かさ)
- 包み込むこと
- リラックスできるペース
- 共にあること(Inclusion)
- 個性を認めること
- 共にあること
- 一員として感じられるようにすること
- 一緒にいること
- 自分自分であること(Identity)
- 尊敬すること
- 受け入れること
- 喜び合うこと
- たずさわること(Occupation)
- 能力を発揮できるようにすること
- 必要とされる支援をすること
- 関わりを継続できるようにすること
- 共に行うこと
- 結びつき(Attachment)
- 尊重すること
- 誠実であること
- 共感を持ってわかろうとすること
中心にあるニーズの「愛(Love)」は、あるがままに受け入れ、心からの思いやり、慈しむ(いつくしむ)ことを求めているといえます。
これらのニーズは、すべての人に共通するニーズですが、認知症の人たちは認知機能障害のために満たすことができにくくなっています。
とくにケアの現場では、認知症の人の個人の価値を低める行為が行われることもあります。そのために、これらのニーズが満たされないことや個人の価値を低める行為によって、BPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia:認知症の行動・心理症状)と呼ばれる行動が現れやすくなりますが、ニーズが満たされることで、認知症の人の良い状態のサインがみられるようになります。
認知症の人たちの”パーソンフッド”を支えるためには、これらの心理的ニーズをより一層満たし、良い状態を高めるようにパーソンフッド”を維持するための積極的なはたらきかけとして、個人の価値を高める行為を実践していくことが重要になります。