介護が誕生した社会的背景とは
読み方:かいごがたんじょうしたしゃかいてきなはいけい
専門職による「介護」が誕生した社会的背景として、下記の1⃣~4⃣をあげることができます。
1⃣家族介護機能の弱体化
2⃣慢性疾患を持つ高齢者の増加
3⃣平均寿命の延伸
4⃣高齢化率の進展
1⃣~4⃣とは・・・
まず1⃣の家族介護機能の弱体化とは、
ちょっと歴史をさかのぼりますが・・・第2次世界大戦後、日本国憲法の制定、民法の改正により「家制度」は廃止されました。そして戦後の復興を目指し、高度経済成長に突入し、就業構造の変化、農村から都市部への人口の移動、家族世帯の変化をもたらしました。
このように、家庭の介護機能に大きな変化がもたらされ、これまで親と子は同居していることが一般的で、親に介護が必要となった場合、家族により介護が行われていましたが、親と別居する傾向が強まることで親の介護が必要となった場合、都市部などで生活する子は、仕事などもあり介護を行うことが難しくなってきました。
そして家庭や地域の介護機能は弱体化し、これまで家庭や地域が担ってきた介護の役割を社会が代替する必要性が生じることになります。
2⃣の慢性疾患を持つ高齢者の増加は、
戦後間もない時期の死因は、結核などの感染症が多く、慢性疾患に罹患する者は多くなかったのですが、公衆衛生の向上や医療技術の発展、食生活の変化等により、リウマチや高血圧、心臓病などの慢性疾患のあるものが多くなりました。
そのため、急性期ではないものの、継続的な介護を必要とする慢性的の高齢者への対応が求められることとなりました。
3⃣平均寿命の延伸は、
1947年(昭和22年)の平均寿命はおよそ50歳でした(戦争の影響だと思いますが、平均寿命の年齢が若すぎてビックリです)。
そして1959年(昭和34年)になると、平均寿命は65歳を超えます。
つまり、12年間で平均寿命は15歳ほど延び、特別養護老人ホームの入所要件となる65歳を超えて生きることが一般的となる時代に突入しました。
4⃣高齢化率の進展は、
平均寿命の延伸により、高齢者人口は増加していきます。
高齢者人口の増加よりも65歳未満の年齢層の増加が多ければ、高齢化率は上昇することがありませんが、0~14歳の人口が減少し、65歳以上の人口が増加することで、高齢化率が上昇していきます。
この『4つの社会的背景】によって、家族や地域の介護機能が低下し、
●慢性疾患の増加
●高齢化の進展
により高齢者の介護ニーズが増大し、介護問題が表面化する事となりました。
この介護ニーズへの対応という社会的要請にこたえるために、老人福祉法が制定され、特別養護老人ホームの寮母や老人家庭奉仕員という介護を担う専門職が誕生し、介護問題への対応が本格的になりました。
その後介護保険制度が制定・施行され現在に至ります。