社会脳(社会的認知機能)
読み方:しゃかいのう(しゃかいてきにんちきのう)
社会の中で生きる人間は、「空気を読み」、周囲の人たちに気遣い、思いやり、そして社会のルールを守って、社会に適応するように行動します。これに必要な認知機能を社会脳、または社会的認知といいます。この機能は人間らしさの認知機能でもあり、前頭前野(前頭葉の前半分)が大きく関わっています。
- 我慢ができない「脱抑制」
- 同じことにこだわり、特定の行動を繰り返す「常同行動」
- 社会的に不適切な言動(ひどくののしる、性的な話)
などは、人間らしさを損ねる症状です。
これらは、前頭前野、特に眼窩面が障害されるとあらわれる症状で、「行動障害型前頭側頭型認知症」の中核症状になります。これらの中核症状は、同時にBPSDでもあります。
さらに、行動障害型前頭側頭型認知症では、甘いものを我慢できず、目の前にあると食べつくしてしまうこともあり、糖尿病になる人が多くいます。
まだこだわりが強い一方で、気が変わりやすく(被動性・転動性亢進)、何かに熱中していても、別の刺激が入ると気が変わります。
前頭葉の内側面は共感脳ともいわれ、他人に対して同情したり共感したりする認知機能と密接にかかわっています。この機能が障害されると、他人の痛みを感じず、多いやりが失われ、脱抑制も加わって、我が道を行く行動となります。