認知症の進行性の経過
読み方:にんちしょうのしんこうせいのけいか
アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症、前頭側頭型認知症は、進行性の経過をたどります。適切な治療で一時的に症状が改善しても、長期的には進行していきます。
血管性認知症は、適切な治療やリハビリテーションで進行が停止したり、改善し、その状態が継続することもあり、必ずしも進行性ではありません。
アルツハイマー型認知症を例にとり、脳病変の進行と合わせた症状の進行を説明します。
・アルツハイマー型認知症の脳病変ができ始めても、そのダメージが少ないうちは症状が出ません。この状態が20年続きます。
・脳病変が広がりダメージが強くなってくると、健忘が出ますが、生活管理能力は保たれているMCIのステージとなり5年くらい続きます。
・そして、さらにダメージが広がると、認知症を発症し、発症以降をアルツハイマー型認知症といいます。
そして・・・
- 軽度のステージ:健忘と見当識障害、IADL(Instrumental Activities of Daily Living:手段的日常生活動作)の低下が中心
- 中等度のステージ:ADL(Activities of Daily Living:日常生活動作)が低下し始める
- 重度のステージ:ADL(Activities of Daily Living:日常生活動作)には手助けが必要で、認知機能が正常な人には理解しがたい行動や尿失禁が出てくる
このステージを経て、運動機能の低下から歩行困難、パーキンソニズム、発語困難、そして嚥下障害が出て誤嚥性肺炎を頻発する終末期に至り、全経過10年~15年を経て亡くなります(個人差が大きいです)。
認知症の進行は、脳病変の影響だけでなく、環境や本人の生き方などの影響を強く受けます。その人の日課や役割があり、自己決定が尊重されて、生きがいを感じながら生活していると、進行が遅れる傾向があります。一方、役割や他社との交流がなく、不活発で閉じこもった生活を送っていたり、自己決定が奪われ、何でもしてもらえる介護環境に至ると、進行が早まる傾向があります。そのことから、自立・自律支援の適切なケアが生命予後を改善します。