病識
読み方:びょうしき
病識とは、自分の障害を自覚して、その程度を正しく把握することをいいます。
この病識が低下し、自覚にとぼしい状態がアルツハイマー型認知症や前頭側頭型認知症では高頻度にあらわれます。
そして、病識が低下していると、BPSDが増え、
・服薬管理ができなくなっているのに服薬支援などの介護の受け入れを拒否
・運転が危険なのに運転免許返納を拒絶
・財産管理に支援が必要なのに自分で出来るといってアドバイスを聞き入れない
こういった、介護上の困難をたくさん引き起こします。
本人は病識が低下するほど鬱(うつ)になりにくいのですが、病識が低下するほど家族の介護負担は増えます。
病識の低下度は、MMSE(Mini Mental State Examination:ミニメンタツステートテスト)や、HDS-R(長谷川式認知症スケール)といった認知テストではわかりません。SED-11Q(Symptoms of Early Dementia-11 Questionnaire:認知症初期症状11項目質問票)を本人と家族に同時に記入してもらうと、その認識の違いの差から病識低下の程度が判明します。
たとえば、中等度のアルツハイマー型では、家族介護者が平均9項目チェックしますが、本人は1.5項目しかチェックしません。進行とともに、本人のチェック数は減る傾向があり、介護者によるチェックの差が大きくなります。