認知症の人の価値を低める行為
読み方:にんちしょうのひとのかちをひくめるこうい
パーソンセンタードケアと提唱したキッドウッド氏は、「認知症と共に生きる人々の心理的ニーズ」を下記の5枚の花弁で価値を低める行為についてあらわしました。
パーソンセンタードケアとは、年齢や健康状態にかかわらず、すべての人々に価値があることを認め尊重し、1人ひとりの個性に応じた取り組みを行い、認知症の人の人間関係の重要性を重視したケアのことです。
- くつろぎ(Comfort)
- 怖がらせること
- 後回しにすること
- 急がせること
- 共にあること(Inclusion)
- 差別すること
- 無視すること
- のけ者にすること
- あざけること
- 自分自分であること(Identity)
- 子ども扱いすること
- 好ましくない区分け(レッテル)をすること
- 侮辱すること
- たずさわること(Occupation)
- 能力を使わせないこと
- 強制すること
- 中断させること
- 物扱いすること
- 結びつき(Attachment)
- 非難すること
- だましたり、あざむくこと
- 分かろうとしないこと
中心にあるニーズの「愛(Love)」は、あるがままに受け入れ、心からの思いやり、慈しむ(いつくしむ)ことを求めているといえます。
これらのニーズは、すべての人に共通するニーズですが、認知症の人たちは認知機能障害のために満たすことができにくくなっています。
とくにケアの現場では、認知症の人の個人の価値を低める行為が行われることもあります。そのために、これらのニーズが満たされないことや個人の価値を低める行為によって、BPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia:認知症の行動・心理症状)と呼ばれる行動が現れやすくなりますが、ニーズが満たされないことで、認知症の人のよくない状態のサインがみられるようになります。
認知症の人たちの”パーソンフッド”を支えるためには、これらの心理的ニーズをより一層満たし、良い状態を高めるようにパーソンフッド”を維持するための積極的なはたらきかけとして、個人の価値を高める行為を実践していくことが重要になります。