もの盗られ妄想
読み方:ものとられもうそう
もの盗られ妄想とは、認知症の人が記憶障害により、しまった物の場所がわからなくなった時に「誰かに盗られた」という思考になることです。
身近で介護をしている家族が泥棒扱いされることもあり、家族にとっては大きなショックや怒りを感じることになります。家族は、
「盗むわけないでしょ」
「一生懸命介護しているのになんてい酷いことを言うの」
「自分で失くしたのに人のせいにするな」
といった反論をしてしまいます。
しかし、認知症の人は自分が被害者だと思い込んでいるため反論は逆効果となり状況はかえって悪化してしまいます。
まずは、本人が盗まれたと思い込み混乱している状況を受け止めることが重要です。
なかなか見つからず不安に感じる気持ちを受け止めながら、一緒に探す姿勢が大切です。根底には大切なものが自分の手元にない不安感があるので、それを理解することが大切です。
そのうえで、認知症の人は、1つの考えにとらわれた場合、自らそこから抜け出すことが難しいので、タイミングを見てお茶に誘ったり、外出に誘うなどして関心をそらします。
物をしまった場所に検討が付くならば、本人と一緒にその場所に行き、一緒に見つけることで安心することもあります。
- もの盗られ妄想時の心理状況
- ・しまった場所が思い出せない自分自身への腹立たしさ
・自分ではちゃんとしているはずなのに、思い通りの結果にならない現実へのいら立ち
・いつも一方的に介護を受けるばかりで自分自身が情けないと感じる気持ち
本当は、上記のような心理が背景にあり、その葛藤から逃れるために「自分は被害者なんだ」と信じ込むことで心のバランスをとろうとしているとも考えられます。
●認知症の人が得意なことを教わりながら一緒に行う
●一緒に外出して気分転換をはかる
●気心知れた人とお茶をする
上記のような、認知症の人が孤独や不安を感じない状況を作って、気持ちを満たしていくことが重要です。