BPSDの行動症状
読み方:びーぴーえすでぃーのこうどうしょうじょう
BPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)の行動症状とは、「通常は患者の観察によって明らかにされる」としています。
具体的には、
- 徘徊
- 焦燥
- 攻撃性
- 介護に対する抵抗
- 不適切な性的行動
- 夕暮れ症候群(夕方になるとそわそわして落ち着かなくなる)
- 破局反応(突然の怒りの爆発)
- 叫声(きょうせい)
- 不穏
- 文化的に不釣り合いな行動
- 収集癖
- ののしり
- 付きまとい
があげられています。
しかし、例えば「不安そうにうろうろしている症状(焦燥)」の心理面をみれば心理症状で、うろうろしている行動は行動症状です。このように、心理症状と行動症状の区別は明確ではありません。
BPSDは、日本では周辺症状や随伴症状といわれたものにほぼ相当します。
中核症状(認知症状)は必ずあらわれますが、BPSDは認知症の人全員に見られるわけではないという意味から、周辺症状や随伴症状などの用語が使われてきた歴史があります。
また、周辺症状は中核症状に環境因子などが加わって2次的に発症するという考え方がありますが、これはBPSDに当てはまりません。
BPSDは多要因によって生じるもので、中核症状はBPSDの多要因の1つに過ぎないとされています。さらに周辺症状や随伴症状にはせん妄が含まれているという考え方がありますが、BPSDにせん妄は含まれません。
せん妄は意識障害の一種で、認知症の症状であるBPSDとは区別されます。
このように、BPSDと周辺症状はそもそもの概念が異なるので、きちんと区別して用いるべきです。