回想法の効果
読み方:かいそうほうのこうか
回想法には、
- 高齢者への効果
- 高齢者の家族への効果
- 高齢者にかかわる専門職への効果
の3つの効果(下記に詳細)があることが知られています。
回想法の「高齢者の効果」としては、懐かしい話を語り合う過程で、その当時の「楽しかった」「嬉しかった」という豊かな感覚や感情が蘇ってくることにより、心身の活性化に繋がります。また人生を振り返ることにより、様々な出来事を乗り越えてきた長い道のりを思い出し、自己肯定感が高まる人もいます。
グループ回想法の場合、高齢者同士、「懐かしい」「嬉しい」という感情を分かち合うことにより、とても深い心的共感が起こり、交流が深まっていく様子が見られます。
回想法により「高齢者家族への効果」としては、高齢者の語りを聞くことにより、家族の絆を再確認する機会となり、「何も覚えていない」と思われていた認知症の人が、回想を契機に家族への思いを語りだした様子を見て、深い感動を覚えることなどがあります。
回想法による「高齢者にかかわる専門職への効果」としては、高齢者の人生を聞くことにより、日常の生活支援に生かせる多くの情報を得られることがあります。また、高齢者の人生に触れることにより、自然と高齢者に対する尊敬の念が高まってきます。
この回想法による3つは、相互に影響し合い相乗作用として大きな効果をもたらします。
回想法による「高齢者の効果」のうち、認知症の人への効果として、BPSDの軽減が知られています。記憶障害により、「時間」「場所」「人間関係の繋がり」の感覚を喪失しやすい認知症の人が、思い出を語り合う中で、
- 「過去」
- 「現在」
- 「未来」
という、時間軸が少し繋がり、その過程で確かな自分を取り戻すことがあるのです。
また、懐かしい過去の出来事に伴う豊かな感覚や感情が蘇ってきて、それが情緒的安定をもたらします。日頃、何にも関心を示さなくなっていた認知症の人が、昔の懐かしいアルバムを眺めながら、その頃の思い出を嬉しそうに語り合った後は、心身が活性化され、今を生きる力が蘇ってくるのです。