BPSDの誘因
読み方:びーぴーえすでぃーのゆういん
多様な要因によりBPSDが生じやすい基盤がつくられ、不安や不満が鬱積しているところにケアする者からのきつい言葉などの誘因(きっかけ)が加わると、顕著なBPSDとなります。
火山に例えると、さまざまな要因が積み重なってマグマだまりができているところに、誘因が加わって火山が爆発するというイメージです。
このようにアルツハイマー型認知症の易怒性(いどせい)ではスイッチである誘因があることが多いのですが、行動障害型前頭側頭型認知症ではスイッチが入らなくてもいきなり怒り出すことがあります。
これは爆発ではなく、あちこちからマグマが湧き出ている状態です。
BPSDでは、不安や不満などのあらわれを「予兆」として気付けばBPSDを防いだり減らすことができると考えられます。この予兆を早めにキャッチすることでBPSDを回避しようと「不同意メッセージ」と名付け5つにまとめています。
- ❶服従:やりたくないアクティビティをやらされる
- ❷謝罪:アクティビティなどで出来ないことがあった時に「ごめんなさい」と謝る
- ❸転嫁:簡単な紙折り作業ができないときに「紙が変だから」と紙のせいに責任転嫁する
- ❹遮断:聞こえないふり、寝たふり、視線をそらすなどする
- ❺憤懣:気に入らないことをぶつぶつと独語で怒る
などです。
この不同意メッセージは認知症の人の表情や言葉やしぐさにあらわれます。
それに気づいて、ほめる、やさしく接する、本人が納得するタイミングややり方を検討するなどの対応がBPSD回避に有効と考えられます。
これらを予兆ととらえて早期介入することで、BPSDを回避できるというエビデンス(根拠)を示す研究が始まっています。