せん妄
読み方:せんもう
せん妄とは、覚醒レベルが軽度に低下し、同時に注意障害などの認知機能に支障を伴っている状態のこと。せん妄は意識障害の一種で、認知症とは区別すべき病態です。
しかし、レビー小体型認知症や血管性認知症ではせん妄を合併した状態がしばしばあらわれます。
また、アルツハイマー型認知症でもせん妄を合併すると、認知機能が悪化しBPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia:認知症の行動・心理症状)が増悪します。
しかし、せん妄は一時的なのが特徴で、たとえば夜間にせん妄があらわれていてもぐっすり眠るとせん妄が消失し、翌日は認知レベルが元に戻り、せん妄によるBPSDも消失します。
せん妄の特徴は
❶ぼーっとしていたり、目つきが変わっていて覚醒レベルが低下している
❷注意障害があり、呼びかけた時の反応がいつもと異なり適切でなかったり、簡単な命令に応じたりすることが出来ない
❸睡眠覚醒のリズムが乱れ、昼夜逆転することもある
といったことで、これらがあればせん妄を疑います。
多くの場合せん妄には誘因があります。
高齢者の認知症で脳がもろくなった状態では、脱水、便秘、疼痛、発熱、身体拘束などで容易にせん妄が生じます。
せん妄は適切な治療薬で改善するので、せん妄に気付くことが大切です。
興奮して過活動の状態となる過活動性せん妄は見つかりやすいのですが、ぼーっとしているだけのおとなしい低活動性せん妄は見過ごされやすいので注意が必要です。