こんにちは。介護ラボのkanaです。今日は「介護の基本」の中から『作業管理』についてまとめていきます。
ノーリフティングポリシー5つのポイント
Contents
1.作業管理
1⃣作業環境管理
2⃣国際的な腰痛予防対策の考え方
2.ノーリフティングポリシーに基づいた移動・移乗介助
1⃣ノーリフティングポリシー5つのポイントとは?
2⃣ベッド上での移動や体位変換
3⃣車いす、ベッド、トイレなどの介助
4⃣リクライニング車いす、ストレッチャーなどの臥床移乗介助
5⃣寝返りやギャッジアップなどの介助
6⃣立ち上がりや座位移乗介助
7⃣浴室などでの移動・移乗介助
8⃣車いす、ベッド、トイレなどで立ち上がる場合
1.作業管理
作業管理とは、作業方法の改善や作業時間の適正化などをはかることです。介護作業においては以下の6つのことに留意するようにしましょう。
- 省力化:人を抱える作業など、腰や頸肩腕に負担のかかる作業は、原則として人力のみでは行わず、「スライディングボード」「スライディングシート」「スライディングマシーン」「移乗リフト」などの福祉用具を積極的に活用する。なお、福祉用具を活用することは利用者の自立支援の観点からも重要になります。
- 作業姿勢・動作:前屈、ひねり、うっちゃり姿勢などの不自然な姿勢をとらないようにします。不自然な姿勢をとらざるを得ない場合には、その程度を小さくするとともに、頻度や時間を減らすようにします。
- 作業の実施体制:作業人数、作業内容、作業時間、福祉養父などが適当か検討します。腰や頸肩腕に過度の負担が掛かる作業は、1人ではなく、身長差の少ない2人で行うようにします。
- 作業の標準化・マニュアルの策定:作業内容別に作業姿勢・動作、作業手順、作業時間などのマニュアルを策定します。
- 作業量・休憩:適宜、休憩時間を設け、休憩や仮眠が取れるようにします。能力に応じた作業内容・作業量とします。過労とならないように長時間両道を避けます。
- 靴・服装:靴は足のサイズに合った物で安全性の高いものを使用します。服装は、動きやすく着心地がよく、伸縮性や保温性、通気性のあるものを着用します。
1⃣作業環境管理
作業環境管理とは、労働環境が原因となって健康障害が起こらないように環境を整えることです。介護の作業環境管理では、以下の4つに留意しましょう。
2⃣国際的な腰痛予防対策の考え方
腰痛や頸肩腕障害は、諸外国においても介護従事者の人材不足や労働損失日数(労働災害によって失われた労働日数を評価したもの)の増大に拍車をかけることから、社会問題となっていました。
そこでイギリスやオーストラリアでは、政府がプロジェクトを立ち上げて腰痛予防に関する研究を実施し、腰痛の発生原因の多くは、
- 人力のみによる持ち上げ作業
であるとし、「ボディメカニクス」のみを活用しても腰痛予防としても効果はないことを明らかにしました。
1993年イギリス看護協会が、1998年にはオーストラリア看護連盟ビクトリア支部がイギリス看護協会の発表したものをモデルとした「ノーリフティングポリシー」を発表し、人力のみによる対象者の持ち上げ作業の制限または原則禁止、福祉用具の活用の徹底といった介護労働者の保護も保障する法的対策を実施しました。
その結果、介護・看護労働者の労働災害件数や障害による休職日数、労働者災害補償額を大幅に削減できたと報告されています。
これらのことから、日本においてもノーリフティングポリシーの考えを取り入れた「腰痛予防対策」を実施することが重要であるといえます。
- ノーリフティングポリシーとは?
-
介護や医療現場における腰痛対策指針のことで、対象者の自立・自律、対象者と介護労働者の保護のために、人力ののみで「押す、引く、持ち上げる」といった作業を可能な限り無くす、あるいは最小限の抑え、移動・移乗時のリスクの回避・低減策として有益な用具や機器を必ず使用したり、複数人数で対応したりするなど、労働環境を整備することをいう。
2.ノーリフティングポリシーに基づいた移動・移乗介助
全ての介助工程において「不良姿勢をとらない」、「抱き上げない」、「身体の左右バランスや複数者での介助介助時に一方に負担が偏らないようにする」ことを前提とし、次項に挙げる5つのことに留意して介助します。
1⃣ノーリフティングポリシー5つのポイントとは?
❶対象者の状態・状況と能力を確認する
❷移動方向と距離、周囲の環境を確認する
❸対象者の「自然な動き」を活用する
❹「荷重」と「摩擦」を把握する
❺対象者の積極的な参加を促す
2⃣ベッド上での移動や体位変換
対象者の身体の下にスライディングシートを敷き込み、ベッドとの摩擦を減らし滑らせて介助します。
3⃣車いす、ベッド、トイレなどの介助
- 立ち上がり
- 立位保持
- 方向転換
- 安全な着座
に対して、1つでも大きな介助を要する場合は、対象者の臀部の下にスライディングボードを差し込み、身体を移乗先に傾けて、座位姿勢のまま滑らせて介助します。
なお、スライディングボードの使用は、端座位の保持と身体の前傾が可能であることが条件となります。
4⃣リクライニング車いす、ストレッチャーなどの臥床移乗介助
起き上がりが困難な対象者の身体の下に移乗用ボードを差し込み、身体を移乗先に傾けて臥位姿勢のまま滑らせて介助します。
5⃣寝返りやギャッジアップなどの介助
介助者の手にスライディンググローブをはめ、対象者の背部や臀部、下肢などの下に差し込み、皮膚のずれや摩擦の軽減をはかります。
6⃣立ち上がりや座位移乗介助
対象者の骨盤に介助用ベルトを装着し、介助用ベルトの把手を持って対象者の身体を支持したり、把手を引いたりするなどして重心移動を介助します。
介助者も把手を装着することで、対象者が介助者の把手を掴んで立ち上がったりすることが出来ます。
7⃣浴室などでの移動・移乗介助
端座位の保持と身体の前傾が困難な対象者の身体の下につり具(スリングシート)を敷き込み、移乗用リフトを使って釣り上げて介助します。
- 床走行式
- 固定式
- 据置式
などがあります。
8⃣車いす、ベッド、トイレなどで立ち上がる場合
対象者の腰背部や臀部の下につり具を差し込み、立位補助機(スタンディングマシーン)を使ってつり上げます。あるいは、機器に備え付けられた椅子や担架などの台座を使って前傾姿勢を保持し介助します。
- つり上げ式
- 台座式
などがあります。
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