正常圧水頭症
読み方:せいじょうあつすいとうしょう
正常圧水頭症とは、脳脊髄液の正常な流れがブロックされることにより、脳脊髄液が脳室や脳の周辺にたまることで起こります。
脳は大脳の中にある側脳室という水かたまっている空間の中で、絶えず脳脊髄液を産生しています。
この脳脊髄液は橋(きょう:脳の部分の1つ。 脳幹 に含まれ前後を中脳と延髄にはさまれる)まで流れて脳の外に出ると、脳の周辺を上方に流れ、大脳の上方正中部にあるクモ膜顆粒で吸収されます。
この流れがブロックされると脳脊髄液が脳室や脳の周辺にたまり、正常圧水頭症となります。
脳脊髄液が溜まると、大脳のはたらきが悪くなり、
- ①ボーっとするタイプの認知機能の低下、
- ②すり足で小刻みに歩く歩行障害、
- ③遅れて出現することが多い尿失禁
この3つが、正常圧水頭症の3大症状です。
CTやMRIは、特徴的な画像所見を示すので、診断に有用です。
腰椎部に針を刺して脊髄液を試験的に30ml抜いて症状が軽減すれば、余分な脊髄液を腹腔に逃がすシャント手術が行われ、歩行障害などが軽減します。
ただし、アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症に正常圧水頭症が合併していることも多く、手術をしても認知機能は進行します。
よって、必ずしも治るとはいえません。
また、90歳以上の高齢者だと手術の適応にならないと判断される場合もあります。