アルツハイマー型認知症
読み方:あるつはいまーがたにんちしょう
アルツハイマー型認知症とは、無症状~MCI(軽度認知症)~認知症というアルツハイマー病の長い経過の中で、認知症を発症して以降をいいます。
アルツハイマー型認知症はβたんぱくの沈着が原因と考えられており、その根拠は、
①βたんぱくの代謝に関連する遺伝子変異が家族性アルツハイマー型認知症を引き起こすこと、
②βたんぱくの遺伝子が乗る21番染色体のトリソミーであるダウン症でアルツハイマー型認知症を併発すること、
③病理学的に老人斑が見つからなければアルツハイマー型認知症とはいえない
などです。
ただしβたんぱく沈着を生じても、直ちに認知症になるわけではなく、脳には余力があるので、20年ほどの経過でβたんぱくの広範囲・多量の蓄積、神経原繊維変化の広範囲の出現で認知症となります。
つまり、アルツハイマー型認知症は、20年に及ぶ無症状期ののちに、5年ほどの健忘のみのMCIを経てアルツハイマー型認知症となり、おおむね10~15年の経過で亡くなります。
重度期以降は大脳皮質一次領野にも老人斑や神経原繊維変化による障害の広がり、四肢の運動障害や誤嚥を引き起こします。
初期症状は健忘ですが、健忘のみではアルツハイマー型認知症とはいえません。
見当識障害や遂行機能障害、空間認知障害を伴って、金銭・買い物。調整などの生活管理に支援が必要となるとアルツハイマー型認知症となります。
自分の能力を正確に把握することが難しくなり、能力を過大評価したり、障害を過小評価したり、病識低下(内省能力の減退)などが特徴的な症状です。
健忘が主体のMCI(軽度認知症)からアルツハイマー型認知症に移行していくことが多いです。
経過は、初期には生活管理能力の障害が主体で能力的には8~10歳並みで、中期以降は5~7歳並みの生活管理能力となり、ADL(日常生活動作)障害が加わります。
重度になると1~2歳並みで、認知機能が保たれている人が当たり前に出来る簡単な動作が困難になります。終末期には両便失禁で寝たきりとなり、発語ができなくなり、誤嚥などで亡くなります。
日本ではアルツハイマー型認知症は死因にならないという考えが根強いですが、欧米ではアルツハイマー型認知症が死因になると考えられていますので、終末期の経管栄養は医学的には必要なしととらえられています。