スーパービジョン(介護福祉職)
読み方:すーぱーびじょん
スーパービジョンとは、簡単にいえば、介護福祉職などの対人援助を専門とする職種が指導者から受ける指導機会、指導過程や指導関係のことです。指導する側を「スーパーバイザー」、指導を受ける側を「スーパーバイジー」と呼びます。
スーパービジョンは、職場内外の指導関係を元に定期的に面接や指導訓練を行うことで、対人援助実践に必要な技術の習得や業務に必要な能力の開発を行うことを目指します。
職場の上司と部下がそれぞれ「スーパーバイザー」と「スーパーバイジー」になることもありますが、スーパービジョンの指導関係は職場の中に限られるものではありません。
なお、スーパービジョンと類似のものとして「コンサルテーション」があります。
スーパービジョンは単独で行うものではありません。介護実習を例にとっても、学習段階に応じた様々な指導関係を通して行われていくことが特徴です。
そのため、必ずしもスーパービジョンにおけるスーパーバイザーは、教員や実習指導者に固定されるわけではありません。学習状況に応じて必要な関りは変わり、同じ実習仲間や職場の同僚などがスーパーバイザーとなる場合もあります。
例えば、教員と学生という関係では、学習内容の理解が出来ているか確認する、介護実践に対する不安を相談・確認する、など「指導する」「指導される」関係が明確な個別のかかわりが有効といえるでしょう。
また、介護現場での実習指導者と実習生の関係では、実習指導者1人から、実習生数名が同時に指導を受けるグループ形式のかかわりが有効な場合があります。
更には、同じ実習メンバー同士など、疑問や悩みを共感しやすいメンバーで集まり、そこに指導者などを交えずに行う関りが問題解決や学習に有効な場合があります。
- ◉スーパービジョンの3つの形態と特徴
- 【個別スーパービジョン】
・スーパーバイザーとスーパーバイジーが1対1で行う形態のスーパービジョン
・個別の面談形式で行うことが多く、スーパーバイジーの自己覚知を含む個別の課題を深く掘り下げて展開できる
【グループスーパービジョン】
・スーパーバイジーが複数となるグループ形式のスーパービジョン
・複数のメンバーで行うことから、個人の課題を深めることなどが難しい反面、参加者からの多様な意見や考え方を取り入れることが出来る
【ピアスーパービジョン】
・他のスーパービジョンと異なり、指導者が参加しないタイプ
・学生同士や仲間関係で行うことから、上下関係が生じず、率直な意見交換などの対話を展開しやすい
スーパービジョンは、概ね「教育」「管理」「支持」という3つの機能で整理されています。この3つの機能が人材育成を図るうえで効果的だと考えられているのです。
介護実践の指導を受けるスーパーバイジーの立場から、3つの機能の目的や狙い・視点が下記になります。
- 教育的機能:介護を実践するために必要な、知識が技術についての不足や課題を発見し、スーパーバイザーである指導者と共に課題解決に向けて一緒に考えていく
- 管理的機能:職務や職責などに応じた役割を理解し、業務を自らが主体的に計画・実行・評価していく
- 支持的機能:自らの課題や疑問をスーパーバイザーに共有してもらうことで、介護実践の中で発生、経験する様々な不安や葛藤を軽減・解消していく(自己覚知を促したり バーンアウト を防止するなど、スーパーバイジーを支える機能)
スーパーバイザーとスーパーバイジーが互いに信頼関係を持って関り、自らの経験や失敗を振り返る勇気を得て、自己研鑽をはかる力、前に進む行動を生み出していくのです。